
アクチュアリー試験の過去問のやり方が分かりません。
どうしたらいいですか…

任せてください
本日は、私が正会員になってわかった1次試験の過去問の使い方をご紹介します
【お知らせ】2027年度から、アクチュアリー試験の1次試験の科目構成と試験時間が変わります。1次試験の5科目の構成が変わり、各科目の試験時間は150分になります。ご自身の受験状況にどう影響するかは「アクチュアリー試験の制度改正|新科目とみなし合格を正会員が解説」で解説しています。
はじめに
みなさん、こんにちは。Donaldです。
今回は、アクチュアリー1次試験の合格を目指す上で、最も重要な「過去問のやり方」について、話をしていきます。
アクチュアリー育成塾では、試験前に「過去問15年分を2時間半で9割とれる」という状態になることを目標に指導を行っています。これで1次試験は突破することができると思います。詳しくは過去の記事もご参照下さい。
過去問をしっかりと解くことができれば、試験本番でも同じような問題に対応する力が自然と身につきます。また、これができれば合格ラインに近づくだけでなく、知識の定着度も非常に高いことの証明にもなります。
今回は、過去問を効果的に使うためのポイントについて解説していきます。
結論:15年分を2時間半で9割解ける状態にする
1次試験の過去問は、日本アクチュアリー会の公式サイトで公開されています。まずはそこから直近15年分を手元に用意してください。
そのうえで、試験本番までに「過去問15年分を、1年分あたり2時間半で、9割解ける」状態を目指します。これが、私が試験対策の指導で受講生に伝えている最終目標です。
この目標が本当に妥当なのか、準会員・正会員の知人10名以上に聞いたことがあります。
1人を除く全員が「そのくらいの水準を目指して勉強していた」と賛同してくれました。
唯一賛同しなかった方は「教科書を読んで3年分解けば受かる」という意見でした…(おそらくこの人は天才笑)
多くの受験生にとっては、過去問15年分を仕上げるほうが現実的な道筋だと考えています。
大学受験でも、FPや簿記のような資格試験でも、過去問をきちんとやり込めば合格に近づきます。
アクチュアリー試験の1次試験も同じです。進め方は、教科書と問題集をひと通り終えたら(遅くとも10月中には)過去問に入り、1周目・2周目・3周目と回しながら、解けなかった問題だけを繰り返し潰していきます。
過去問はどこで手に入るか
アクチュアリー試験の過去問は、日本アクチュアリー会の公式サイトにある「資格試験過去問題集」のページで、試験問題解答集としてPDFで公開されています。冊子での販売や配付は行われていないため、このページからダウンロードして使います。
ページには年度ごとに、1次試験の5科目(数学・生保数理・損保数理・年金数理・会計・経済・投資理論)と2次試験の各科目のPDFが並んでいます。
直近15年分を集めると、2011年度(平成23年度)から2025年度までになります。
- 入手先:日本アクチュアリー会「資格試験過去問題集」
- 形式:問題と解答がPDFで公開。年度・科目ごとに分かれている
- 費用:無料。会員登録やログインは不要
- 掲載範囲:昭和37年度(1962年度)から2025年度まで
- 対象科目:1次試験5科目と、2次試験6科目(生保1・生保2・損保1・損保2・年金1・年金2)
- 紙の冊子:販売・配付はない。印刷して使う場合は各自で用意する
ひとつ気をつけていただきたいのが、公開されているPDFは誤植の訂正などで差し替えられることがある点です。たとえば2025年度の損保数理は、2026年7月27日に試験問題解答集が差し替えられています。数年前にダウンロードしたPDFを使い続けている方は、同じページの「修正履歴一覧」で、自分が持っている年度・科目に差し替えが入っていないかを確認してください。古い解答のまま覚えてしまうと、復習の効率が落ちます。
公式の過去問だけでは詰まる理由
公式の試験問題解答集には、問題と解答が載っています。
ただ、実際に解いてみると、解答を読んでも「なぜここでこの式を立てるのか」「この変形はどこから出てきたのか」が分からない問題に、かなりの頻度で出会います。
独学の受験生が過去問で止まってしまうのは、たいていこの場面です。分からない問題を前にして時間だけが過ぎ、進捗が出ないまま試験が近づいてしまう。
この詰まりを抜ける方法は、後半の「解けなかったときの戻り方」で説明します。公式の過去問と教科書、市販の問題集だけでも十分に戦えますので、まずは手元の教材でできることから始めてください。
いつから始め、何年分をどの順序で解くか
過去問に入る時期は、早ければ早いほど有利です。
目安は、教科書と問題集(『合格へのストラテジー』など)をひと通り終えた時点です。遅くとも10月中には始めてください。11月にずれ込むと、試験までに10年分ほどしか回せなくなるという印象を持っています。
ただし、教科書や問題集を「完璧にしてから」と考える必要はありません。そこに時間をかけすぎるほうが危険です。
10月の時点でまだ教科書を読んでいるなら、ひとまず最後までさっと目を通して過去問に入り、分からないところが出てきたら教科書に戻る、という順序のほうが効率よく合格に近づけます。
以前、弊社インターンのアユスタくんに過去問の計画を聞いたところ、「毎週土曜日に1年分ずつ解いて、平日に復習する」というプランでした。10月から始めると土曜日は試験まで10回もありません。
これでは10年分を1周したところで試験になってしまいます。土日で2年分にする、平日にも解く、というように、15年分を複数回まわせる計画に組み直すようアドバイスしました。
結果として彼は無事合格できました!
解く順序に厳密な決まりはありませんが、私は次のように進めることを勧めています。
1周目は15年分をひと通り解き、解けなかった問題に印をつけます。
2周目以降は、印のついた問題を中心に解き直し、3周ほど回して「15年分を2時間半で9割」に届かせます。
解ける問題を何度も解き直すのは効率がよくないので、周回を重ねるほど、解けなかった問題だけに時間を集中させていきます。
過去問を解く際のポイント
過去問を使って勉強する際には、ただ闇雲に解いて、合格点を超えたかどうかで一喜一憂するのではなく、しっかりとした目的意識をもってやることが重要です。以下のポイントを押さえながら進めていきましょう!
① まとめノートを作成する
まず、過去問を解いている中で、解けなかった問題があれば、「これさえ覚えていれば解けた!」というものをまとめノートに整理していきましょう。
このまとめノートは、「これさえ見ればOK」というノートにすることで、試験直前に自分だけの専用テキストとして役立ちます。
具体的な作り方は次の通りです。
- 過去問を解く
- わからなかった問題の解答を見る
- 解答の中で、「次にこれを知っていたら解ける」という情報をノートに書く
例えば、「解法」「公式」「計算ミスの理由」を書きます。
恥ずかしながら、私の受験生時代のまとめノートの一部を公開します。(笑)

ポイントは、「解けなかった理由」を明確にすることです。本番で類似の問題を解けるようにするために、「なにを知っておく必要があるか」「なにを覚えておかなければいけないのか」をまとめてください。
点数が取れない時期では辛い作業になるかもしれませんが、これを愚直に続けることが合格への近道になります。あきらめずに頑張っていきましょう!
ノートには、小さなミスも遠慮なく書いてください。私は計算ミスがとても多く、過去問を解いていて焦っているときには九九を間違えることもありました。「8×7は56。54ではない」ということまで書いておくと、同じミスを本番で繰り返しにくくなります。
目指すのは、「このまとめノートと自分がいれば、合格点どころか満点がとれる」という状態です。過去問を解きながらノートに書き足し、そのノートを何度も見返して覚えることが、2時間半で9割に届く近道になります。
一方で、ノートをきれいに仕上げることや、教科書の内容をノートに写してまとめ直すことに時間を使うのはお勧めしません。時間が無限にあるなら別ですが、秋以降にそれをやるのは避けたほうがよいと考えています。ノートを整えることではなく、問題を解けるようにすることに時間を使ってください。
② できなかった問題をストックして、何回も解く
過去問を解いていると、必ず「できなかった問題」が出てきます。これを放置せず、しっかりストックして、何度も繰り返し解くことが大切です。
過去問の解ける問題を含めて、すべての問題を勉強するのは時間がかかり効率的ではないので、できなかった問題を隙間時間に何度も勉強しましょう。
見直すときに、毎回紙に書いて電卓を叩く必要はありません。問題を見て「こうして、こうして、こうすれば解ける」と頭の中で道筋を思い出し、すぐに解答を見て確認する。この「想起」を繰り返すことで解法が身につきますし、私の感覚では、手で解き直すより数倍から10倍近く速く回せます。暗記に近いやり方ではありますが、解けなかった問題を何度も繰り返すには、この速さが大きな意味を持ちます。
私はGoogleフォトに間違えた問題をスクリーンショットして、アルバムに入れて整理していました。

電車の中などの隙間時間で、タブレットを使って、こまめに復習していました。
紙で整理した方が分かりやすいという方もいるかと思いますので、やり方は自分に合った方法を見つけてください。
重要なことは、間違えた問題をストックして、何度も繰り返すことです!
③ 1周目の点数に一喜一憂しない
過去問を初めて解いたときの点数は、ほとんどの人が低く出ます。私がこれまで指導してきた受験生を見ても、1周目は20点から40点くらいにとどまることが多いという印象です。
いちばん避けたいのは、点数が取れないことで気持ちが折れて、勉強そのものが止まってしまうことです。1周目の点数が低いのは、みんな同じです。そういうものだと割り切って、「どうすれば次はもっと取れるか」を考え、復習に力を注いでください。
④ 本番と同じように時間を測って解く
1次試験の試験時間は、各科目180分です(出典:日本アクチュアリー会「資格試験情報」の2026年度の試験日程)。数字だけ見ると余裕がありそうですが、実際には時間が足りなくなる試験です。特に損保数理や年金数理は計算量が多く、会計・経済・投資理論も投資理論の終盤に計算問題が多いため、時間配分を誤ると最後まで解ききれません。
そのため、過去問を解くときは毎回時間を測ってください。目標にしている2時間半は、本番の180分より30分短い時間です。この時間で解ききれるようにしておくと、本番では見直しや、手が止まった問題に使える余裕が生まれます。
解けなかったときの戻り方
過去問を何周かすると、「この問題は見たことがある。答えはこうなる」と、理解はしていないのに解けてしまう問題が出てきます。これは多くの受験生に起こることですが、そのままにしておくのは危険です。解法を丸暗記しただけでは、同じ論点を別の聞き方で出題されたときに対応できないからです。
解答を読んでも分からない問題や、解けるけれど理由を説明できない問題に出会ったら、教科書に戻ってください。分からない問題の多くは、根本の理解が抜けていることが原因です。教科書のどの章の話なのかを確認し、その問題の背景にある考え方をつかみ直すことで、初めて本当に解けるようになります。
教科書だけでは分かりにくいときは、市販の問題集を参考書代わりに使うのも有効です。
『合格へのストラテジー』の問題集は過去問の類題を丁寧に解説しているので、同じ論点の問題を解き直す材料になります。
『合格へのタクティクス』は、過去問を分野ごとに並べ替えて数値を変えたつくりで、問題ごとに必要な公式が載っているため、過去問の解答で分からない箇所を調べるのに向いています。ただし問題量がとても多いので、全部を解くより過去問をやりきることを優先してください。
「過去問で分からない、教科書や問題集に戻る、過去問に戻る」という往復が、秋から試験までの時期にもっとも効率のよい勉強の進め方です。
科目ごとの過去問の特徴
目標はどの科目も「15年分を2時間半で9割」で共通ですが、過去問との付き合い方には科目ごとに違いがあります。
数学は、過去問の比重がもっとも大きい科目のひとつです。『弱点克服 大学生の確率・統計』や『合格へのストラテジー』で基礎を固めたら、あとは過去問をひたすら回し、できなかった問題を潰していくのが基本です。15年分が仕上がって余裕があれば、まだ出題されていない論点の対策に進みます。
生保数理は、指定教科書(通称「二見生保」)の出来がとてもよく、教科書と『合格へのストラテジー』と過去問で十分に戦える科目です。過去問は9月ごろから入り、3周ほど回して目標に届かせるイメージです。
損保数理は、教科書に演習問題が少なく、教科書と過去問のあいだを埋める教材が少ない科目です。当社が『アクチュアリー試験 損保数理 FASTPASS』という演習書を出したのも、この隙間を埋めるためです。そのぶん、過去問を解いて分からないところを教科書に戻って確認する往復が特に大切になります。計算量が多いので、時間を測って解く練習も欠かせません。
年金数理も計算量が多く、時間配分の練習が必要な科目です。教科書・参考書の種類が少ないため、指定教科書と『合格へのストラテジー』と過去問の3つを使いこむことで合格点をとれると考えています。
会計・経済・投資理論(KKT)の会計は、ほかの科目と少し事情が違います。会計基準や法令が変わるため、古い年度の過去問はそのまま通用しないことがあります。会計は範囲が広く、用語を問う問題も多いので、過去問に加えて指定教科書の『財務会計講義』をしっかり覚えることを中心にしてください。経済と投資理論は、ほかの科目と同じく過去問中心で進められます。
科目ごとの勉強法は、それぞれの記事で詳しく解説しています。
15年分を解けるようになったあとは
15年分を2時間半で9割解けるようになれば、正直なところ、合格にかなり近いところまで来ています。それでも試験前は不安になるものですし、時間が残っていることもあるでしょう。
その場合は、15年より前の年度の過去問に進む、問題集の中で自分の苦手な分野を改めて復習する、模擬試験のような初めて見る問題で力を試す、といった形で、過去問とは別の練習を増やしてみてください。まだ出題されていない論点の対策は終わりがないので、ほかの準備が整ってから、試験直前の時期に取り組むくらいがちょうどよいと考えています。
なお、平成11年度(1999年度)以前は科目構成が今と違い、「数学1」「数学2」「保険数学1」「保険数学2」といった区分になっています。昭和37年度まで遡れますが、今の試験範囲と対応しない部分があるので、15年分より前に手を伸ばすときは平成12年度(2000年度)から順に戻るのが無理のない順序です。
よくある誤解
「教科書を完璧に理解してから過去問に入るべき」
受験生のころは私もそう思っていましたし、その気持ちはよく分かります。ただ、教科書や参考書ばかりに時間を使っていると、進捗はなかなか出ません。1次試験は、過去問をきちんと対策すれば合格に近づける試験です。教科書の理解はもちろん大切ですが、合格するという目的から考えれば、過去問を中心に据え、分からないところで教科書に戻るほうが効率的です。インターンのアユスタくんも過去問に入るのが10月ごろと遅く、私が「ペースを上げてほしい」と伝えたうえで、なんとか合格に滑り込みました。
「過去問の解答を読んで理解できれば大丈夫」
解答を読んで分かったつもりになるだけでは、ほとんど意味がありません。いちばん避けたいのは、インプットばかりでアウトプットをしない状態です。解答を読んだら、その問題を自分の力で最後まで解けるところまで持っていく。そこをゴールに設定してください。独学の方は特に、自分が本当に点を取れているのかを確認する時間を意識してとるようにしてください。
「過去問を何周もすると答えを覚えてしまうから意味がない」
答えを覚えてしまう問題が出てくるのは自然なことです。問題は、理解しないまま覚えて終わりにすることです。前の「解けなかったときの戻り方」で書いたとおり、理由を説明できない問題は教科書に戻って確認すれば、周回を重ねること自体が力になります。
終わりに
繰り返しになりますが、過去問演習が一番大切です。なんなら、「過去問がすべてである」といっても過言ではありません。
過去問の習熟度こそが、合格と不合格を分ける大きな要因になります。
過去問の反復演習を通して、「過去問15年分を2時間半で9割とれる」状態を目指して、試験まで勉強していただければと思います。
最後までご覧いただきましてありがとうございました!
みなさまの合格報告を楽しみにしております。
一緒に頑張っていきましょう!!!
ひとりで進めるのが難しいときは
ここまでの内容は、公式の過去問と市販の教材だけで実行できます。そのうえで、「解答を読んでも分からない問題が多く、ひとりで進めるのが難しい」と感じる方に向けて、弊社でも試験対策のサービスを用意しています。
アクチュアリー育成塾では、「過去問15年分を2時間半で9割とれるようにする」ことに焦点を当てた試験対策の個別指導を行っています。答案を採点してほしい方、学習計画を一緒に立てたい方はご覧ください。

本番に近い形で力を試したい方は、当社のアクチュアリー模擬試験もご利用ください。自宅のパソコンで受験でき、1次試験は無料です。毎年10月と11月の2回実施しています。過去に実施した模擬試験は、問題・解答・解説をまとめたPDFとして販売しています(1次試験は1科目1回分500円)。日本アクチュアリー会の過去問を一通り終えたあと、初めて見る問題で力を試したいときにお使いください。
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この記事の執筆者
松岡 / 日本アクチュアリー会 正会員(FIAJ)
株式会社ACEプロフェッショナル 代表
アクチュアリーの転職支援・試験対策指導に従事



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