アクチュアリー試験の難易度|合格率と勉強時間を正会員が解説

アクチュアリー試験の難易度|合格率と勉強時間を正会員が解説

アクチュアリー試験は難しいと言われます。

ただ、「難しい」という情報だけでは、自分が挑戦できる範囲なのかは判断できません。

この記事では、合格率はどのくらいなのか、何年かかるのか、1科目にどれだけ時間がかかるのかなどを、日本アクチュアリー会が公表している数字と、私自身が受験して指導してきた経験の両方から、具体的に解説していきます。

結論:1科目の合格率は10〜45%、正会員まで平均9.0年

まずは、数字で見ると、次のようになります。

  • 1次試験の科目別合格率は、おおむね15〜45%の範囲で動きます
  • 2次試験の科目別合格率は、おおむね10〜27%で、1次より低い水準で安定しています
  • 正会員の資格を取るまでの平均年数は9.0年です(2025年度発表、過去5年の実績)
  • 必要な勉強時間は、1次試験が1科目200〜300時間、2次試験が1科目300〜500時間というのが私の感覚です

最短で合格すれば2年で終わる試験ですが、実際には9年かかるのが平均です。

難しさの正体は、1回の試験の難しさよりも、この年数を勉強し続けることにあると考えております。

アクチュアリー試験の全体像。第1次試験は基礎科目5科目(数学、生保数理、損保数理、年金数理、会計・経済・投資理論)で、1科目合格で研究会員、5科目すべて合格で準会員。第2次試験は生保・損保・年金の3コースから1つを選びその2科目を受験する。全科目に合格し所定の研修を修了すると正会員になる。

数字で見る難易度

1次試験の合格率は、年によって大きく動く

まず、1次試験(基礎科目)の科目別合格率です。

科目 2023年度 2024年度 2025年度
数学 20.1% 29.7% 30.1%
生保数理 35.6% 46.2% 29.4%
損保数理 44.5% 17.3% 26.0%
年金数理 15.3% 67.1% 19.4%
会計・経済・投資理論 24.5% 18.9% 45.3%

(出典:日本アクチュアリー会「資格試験結果について」2025年度/2024年度/2023年度)

この表で目を引くのは、同じ科目でも年によって合格率が大きく動くことです。
例えば、年金数理は15.3%から67.1%まで振れていますし、損保数理も44.5%から17.3%まで落ちています。

「アクチュアリー試験の合格率は○%」という一つの数字では、この試験の難易度を表せません。受ける年によって、同じ実力でも結果が変わります。

2次試験は、低い水準で安定している

次に、2次試験(専門科目)です。

科目 2023年度 2024年度 2025年度
生保1 18.5% 26.3% 17.7%
生保2 13.3% 20.7% 17.7%
損保1 10.4% 15.4% 17.8%
損保2 22.4% 24.5% 21.5%
年金1 20.6% 19.7% 19.0%
年金2 23.1% 14.3% 27.1%

(出典:同上)

1次試験のような大きな振れはありません。どの年も10〜27%の範囲に収まっています。 1次試験には年金数理の67.1%のような「当たり年」がありますが、2次試験にはそれがありません。

正会員までの平均年数は9.0年

日本アクチュアリー会の発表には、次の記載があります。

全科目に合格するには最短で2年必要ですが、過去5年間の実績に基づく正会員資格を取得するまでの平均年数は9.0年です。
(日本アクチュアリー会「2025年度資格試験結果について」)

最短2年に対して、平均9.0年。7年の差が、この試験の難易度を最もよく表している数字だと思います。

ちなみに、正会員の数は2,300名です(2026年3月26日現在)。2025年度に新しく正会員になったのは96名でした。

必要な勉強時間

勉強時間の目安は、1次試験が1科目200〜300時間、2次試験が1科目300〜500時間というのが私の感覚です。公式な統計ではなく、自分が受験し、指導をしてきた中での実感です。

1次5科目と2次2科目で、単純に足すと2,000時間を超えます。働きながらこれを積み上げることになります。

難しさの正体は3つある

ここからは、受験と指導の経験から感じた、アクチュアリー試験の難しさについて解説したいと思います。

① 1次試験でつまずくのは損保数理と年金数理が多い

指導をしていて、1次試験で受験生がいちばん落ちるのは損保数理と年金数理です。

上の表を見ると、この2科目は平均的に合格率が低いというより、外れ年に当たったときの落ち方が大きい科目です。年金数理は2024年度こそ67.1%でしたが、その前後は15.3%と19.4%です。損保数理も2023年度は44.5%だったのが、翌年は17.3%まで下がっています。

また、内容自体も1次試験の中で損保数理と年金数理は比較的難しいと感じます。

そのため、当たり年に受けられれば通りますが、そうでない年に当たると、同じ勉強量でも落ちます。

② 1次と2次では、難しさの質がまったく違う

これが、アクチュアリー試験のいちばん分かりにくいところだと思います。

1次試験は、数学が得意であれば割とすんなり合格できます。
範囲は広いですが、やることは計算の訓練です。過去問15年分を2時間半で9割取れる状態まで持っていけば、ほとんどの場合は通ります。

2次試験は、質が変わります。
圧倒的な暗記量が必要で、さらに文章を書く力も求められます。計算が速いことは、2次試験ではあまり必要ありません。

その結果、1次試験はすんなり通ったのに、2次試験で何年も止まる人が出てきます。私が見てきた中でも、2次試験に進んでから1科目も取れずに停滞している方は少なくありません。
逆に、文系出身の方は、1次試験に苦労した方が、2次試験に入ってから一気に合格することもあります。

「アクチュアリー試験は数学の試験だ」と思って入ると、2次試験で苦しむことになります。

③ 働きながら、何年も続ける

1次試験に1科目200〜300時間、2次試験に1科目300〜500時間。これを、仕事をしながら積み上げます。平均9.0年というのは、その積み重ねの結果です。

私は正会員になるまでに5年かかりました。1次試験に3年、2次試験に2年です。
平均の9.0年と比べれば早いほうですが、楽だったという記憶はまったくありません。
試験直前は平日5時間、休日は13時間ほど勉強していた時期もありました。早く終わったのは、要領がよかったからではなく、その期間に勉強を最優先にしたからです。

この試験の本当の難しさは、1回の試験の難しさではなく、何年も勉強を続けられるかどうかにあります。
途中で仕事が忙しくなる年も、家庭の事情が変わる年もあります。その中で毎年受け続けられるかが、合否を分けています。

それでも合格する人がやっていること

難易度の話ばかりでは、挑戦するかどうかの判断材料になりません。合格していく方に共通していることを3つ書きます。

1つ目は、勉強のゴールを数字で決めることです。
1次試験であれば「過去問15年分を2時間半で9割」です。ここが明確であると、勉強の方向性を見失うことが少なくなります。

2つ目は、過去問に入る時期を遅らせないことです。
教科書を完璧にしてから過去問に、と考えると、過去問を始めるのが11月になります。アクチュアリー試験では過去問が超重要です。

3つ目は、受ける科目を最初に決め切ることです。
「2科目勉強して、うまくいけば3科目目も」という立て方は、私の指導経験ではうまくいかないことが多いです。
目標は一番きついところに置いて、進めてみて苦しければ落とす、という順序のほうが結果的に多く取れます。

アクチュアリー試験の合格までの3ステップ。STEP1は教科書を通読して全体像がつかめたら次へ、STEP2は演習書を解いて8〜9割が解けたら次へ、STEP3は過去問15年分を3周し、2時間半で9割取れたら合格圏。

よくある誤解

「数学が得意でないと無理」

1次試験については、数学が得意なほうが有利なのは事実です。ただ、2次試験は暗記量と文章を書く力が問われるので、数学の得意不得意だけでは決まりません。文系出身の方で正会員になっている方もいます。

「毎年たくさん受ければ早く終わる」

科目数を増やせば、1科目あたりの勉強時間は減ります。1科目200〜300時間という目安を考えると、働きながら3科目を本気で仕上げるのは簡単ではありません。中途半端に4科目受けて全部落ちるより、2科目を確実に取るほうが、結果として早く終わることがあります。

まとめ

アクチュアリー試験の難易度を数字で言えば、1次試験の科目別合格率が15〜45%、2次試験が10〜27%、正会員までの平均年数が9.0年です。

ただ、この試験の難しさは1回の試験の難しさではありません。1次と2次で求められる力が変わること、科目によっては年ごとの振れが大きいこと、そして何年も勉強を続ける必要があることが、難しさの中身です。

長い試験ですが、合格の状態を数字で決めて、そこから逆算して進めれば、届かない試験ではありません。

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この記事の執筆者
松岡 / 日本アクチュアリー会 正会員(FIAJ)
株式会社ACEプロフェッショナル 代表取締役
アクチュアリーの転職支援・試験対策指導に従事

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