
アクチュアリー試験の年金数理に受かるために何したらいいか分からない…

任せてください
本日は、私が正会員になってわかった年金数理の勉強方法をご紹介します
年金数理は、前半こそ生保数理の延長で進められるものの、定常人口論から先は独特で、教科書を読んでも何から手をつければよいか分からなくなりやすい科目です。この記事は、2026年9月に動画の内容をもとに加筆しました。動画でも同じ内容を解説していますので、あわせてご覧ください。
【お知らせ】2027年度から、アクチュアリー試験の1次試験の科目構成と試験時間が変わります。「年金数理」は、「生保数理」とあわせて新しい「専門数理1」に再編されます。ご自身の受験状況にどう影響するかは「アクチュアリー試験の制度改正|新科目とみなし合格を正会員が解説」で解説しています。
結論:過去問15年分を2時間半で9割取れる状態を目指します
年金数理の勉強のゴールは、試験本番までに「過去問15年分を、2時間半で9割取れる状態」にしておくことです。試験時間は180分(3時間)ありますが、年金数理は計算量が多く、電卓を叩く回数も多い科目です。30分の余裕を持って解き切れるくらいまで仕上げておくのが目安になります。
そこまでの順序は、先に生保数理の知識を固め、指定教科書『年金数理』を通読しながら演習問題を解き、『アクチュアリー試験 合格へのストラテジー 年金数理』(以下、合スト)の問題集を2周ほど回し、夏の終わりから過去問に入って3周する、という流れです。過去問は日本アクチュアリー会のホームページで無料で公開されています(場所は後ほどご案内します)。
年金数理は、市販の教材が多い科目ではありません。裏を返せば、指定教科書と合スト、そして過去問の3つで、合格に必要な演習量はそろいます。教材を増やすことよりも、この3つを繰り返すことに時間を使ってください。
「年金数理」試験概要
まずは「年金数理」の試験概要を紹介して、その後勉強方法について解説していきます。
細目(出題範囲)
内容は「年金数理・年金財政の基本」で、出題範囲は以下のようになっています。
- 年金数理の基本原理
- 計算基礎率
- 年金現価率
- 定常人口論(含む人口モデル)
- 財政方式
- 保険料と責任準備金
- 積立金と過去勤務債務
- 数理的損益分析
出題範囲のうち、上の3つ(年金数理の基本原理、計算基礎率、年金現価率)は、生保数理で学ぶ内容と重なる部分が多い分野です。生保数理を勉強した方であれば、すんなり入っていけると思います。
一方で、定常人口論より下の分野は年金数理独特で、理解するのに時間がかかります。勉強の計画を立てるときは、この後半に時間を厚めに取っておくことをおすすめします。
(出典:日本アクチュアリー会「2026年度資格試験要領 別紙(1) 試験科目・内容および教科書・参考書」 https://www.actuaries.jp/examin/2026exam/2026-B1.html )
教科書・演習書
<教科書>
- 年金数理
(日本アクチュアリー会)
(平成27年3月改訂版)
紙版:https://iaj-bookstore.com/item-detail/753878
無料電子版:https://www.actuaries.jp/examin/textbook/
アクチュアリー会のホームページに載っている教科書は以上です。
アクチュアリー会が指定している教科書は、この1冊だけです。年金数理は教材の選択肢が多い科目ではありませんが、この教科書と、後で紹介する『合格へのストラテジー 年金数理』、そして過去問があれば、合格点を取るための材料はそろいます。
教科書は、式を追いながら通読します。年金数理の教科書は演習問題が多く、その内容が試験にも出やすいので、読むだけで終わらせず、演習問題を解きながら進めるのが効率的です。説明が簡素で分かりにくい箇所は、合ストの公式集を横に置いて読むと進みやすくなります。具体的な進め方は、後の「①年金数理の教科書を通読」で説明します。
合格点・試験時間
合格点は60/100です。たまに合格点が55点などに引き下がることもありますが、基本は60点です。
試験時間は3時間です。アクチュアリー試験はすべての科目が3時間なので、複数科目を受ける場合、体力をかなり消耗します。
2026年度の年金数理は、2026年12月9日(水)10時開始、試験時間180分の予定です(合格発表は2027年2月15日(月)の予定)。試験日は年によって変わりますので、受験する年には日本アクチュアリー会の資格試験要領でご確認ください。
合格基準は、資格試験要領では「各科目の満点の60%を基準として試験委員会が相当と認めた得点」と定められています。難しい年に合格点が引き下げられることがあるのは、この規定によるものです。
年金数理は計算量が多く、電卓を叩く回数も多い科目です。180分あっても時間が足りなくなることがありますので、普段の演習から時間を計る習慣をつけておくと安心です。
(出典:日本アクチュアリー会「2026年度資格試験要領」 https://www.actuaries.jp/examin/2026exam/2026-H.html )
年金数理の過去問はどこで手に入るか
年金数理の過去問は、日本アクチュアリー会のホームページの「資格試験過去問題集」で、PDFとして無料で公開されています。昭和37年度から直近の年度まで掲載されていますので、15年分をそろえるのに困ることはありません。紙の冊子としての販売はないため、印刷して使う場合はご自身で用意することになります。
日本アクチュアリー会「資格試験過去問題集」:https://www.actuaries.jp/lib/collection/
掲載されているPDFは誤植の訂正が随時行われていますので、早い時期にダウンロードしたものを使い続けている場合は、ときどき最新版を確認してください。
公式の過去問だけでは詰まる理由
公式の過去問題集には解答が付いていますが、途中の考え方の説明は簡潔で、分かりにくい箇所があります。特に過去問を解き始めたばかりの時期は、解答を読んでも「なぜこの式を立てるのか」が分からずに手が止まることがあると思います。
そういうときは、教科書と合ストの該当箇所に戻ってください。直近の年度については、このサイトでも解答速報として解説を公開しています(【年金数理】2025年度解答速報、【年金数理】2024年度解答速報)。それでも分からない場合の進め方は、後の「解けなかったときの戻り方」で説明します。
年金数理の過去問の特徴
過去問を解いてみると、年金現価率あたりまでは生保数理の延長で手が動くのに、定常人口論から先で止まる、という方が多いと思います。年金数理で差がつくのはこの後半です。生保数理を勉強していない状態で過去問に入ると、後半に届く前に力尽きてしまいます。
もう一つの特徴は計算量です。年金数理は電卓を叩く回数が多く、180分あっても時間が足りなくなることがあります。過去問は時間を計って解いてください。「2時間半で9割」という目標は、本番で30分の余裕を作るための水準です。
公式そのものは、他の科目と比べて多くはありません。だからこそ、覚えてしまえば解答のスピードがそのまま上がります。公式集の暗記は、年金数理では割の良い勉強です。
「年金数理」勉強方法
勉強方針としては、試験前に「過去問15年分を2時間半で9割以上とれる」という状態を目指します。これで1次試験は突破することができると思います。詳しくは過去の記事もご参照下さい。
「年金数理」でも、試験日までに、「過去問15年分を2時間半で9割以上とれる」状態になれるよう、逆算して、勉強していきましょう。そのために、私が推奨する勉強方法は以下です。
⓪「生保数理」の勉強をする
①年金数理数理の教科書を通読
②『アクチュアリー試験 合格へのストラテジー 年金数理』をやる
③過去問15年分を2時間半で9割解けるようにする
順に解説していきます。
⓪「生保数理」の勉強をする
もし、アクチュアリー試験「生保数理」の勉強をしていない場合には、先に「生保数理」の勉強に着手することをお勧めします。
「年金数理」の中では、年金現価などの「生保数理」の基礎知識が必要なので、「生保数理」を全く勉強していない状態で、「年金数理」の勉強をするのは大変だと思います。したがって、「生保数理」を勉強していない人は、「年金数理」の前に「生保数理」の勉強から始めることをお勧めします。
生保数理の勉強方法についても解説していますので、興味ある方はご覧ください。
①年金数理の教科書を通読
まずは試験範囲の全体像を把握するために、教科書を通読しましょう。できれば、演習問題もやりましょう。
しかし、おそらく第Ⅰ編第3章からは訳が分からないと思います。(第1章・第2章は生保数理の復習)
ただ、まずはこの教科書を通読し、演習問題をこなしてで、試験範囲の全体像を把握しましょう。
目安としては2周ぐらい通読と演習問題を解くのが理想です。ただし、中身を全て完全に理解できる必要はなく、全体像を把握できれば良いです。演習問題は写経でも問題ありません。結局、②と③で引き続き演習をするので、わからないことがあれば、あとで戻ってきます。完璧にやろうとする必要はありません。
②『アクチュアリー試験 合格へのストラテジー 年金数理』をやる
こちらの書籍です。
こちらの書籍は主に「公式集」「問題集」の2つに分かれています。
「公式集」については、①教科書でも登場した基礎知識が、アクチュアリー試験対策用の公式として整理されています。
「公式集」は覚えましょう。「一次試験の合格方法」という記事にも書きましたが、数学の公式暗記を毛嫌いする人は多いです。しかし、試験に受かるためには、試験時間の短縮などメリットが多いので、公式は覚えた方が良いです。私は100均で暗記カードを買って覚えました。また、公式の導出が大問で出ることもありますので、そこの演習も徹底して行いましょう。公式の導出をできるようにしておくことは、大問対策として有用です。
また、アクチュアリー会の教科書を読むときは、ストラテジーの理論編(公式集)を片手に持っていると理解のスピードが速いので、おすすめです。アクチュアリー会の年金数理の教科書は比較的説明が簡素で、実務経験が乏しい人にはわかりにくいです。しかし、年金数理のストラテジーは、年金の実務がなくても理解できるように、教科書を補うような説明が豊富です。私も年金数理のストラテジーには大いに助けていただきました。(ありがとうございます。)
「問題集」については、過去問の類題がほとんどですので、過去問演習と同じ位置づけです。正直、アクチュアリー会が公表している過去問の解答では、たまにわかりにくい部分があります。しかし、こちらの書籍では、過去問(の類題)が丁寧に解説されていますので、「基礎知識のブラッシュアップ」と「過去問に慣れる」という目的で行いましょう。
①をやっていれば、2~3周解けば十分かと思います。なるべく早く過去問に取り組めるようにしましょう。
なお、合ストには、v_x-l_x平面の考え方や電卓の使い方など、試験で実際に手を動かすときに効いてくる説明も入っています。1次試験の科目ごとに合ストが出ていますが、その中でも年金数理は特に出来が良いと私は感じています。年金数理を受けるのであれば、手元に置いておきたい一冊です。
③過去問15年分を2時間半で9割解けるようにする
①②が終わったら、あとは過去問演習あるのみです。15年分を何回も繰り返して解き、2時間半で9割を取れるようにしましょう。
過去問の解説を読んでもわからない部分は、①②の書籍や教科書を読んで、理解できるようにしましょう。それでも分からない場合、最初は飛ばしてよいと思います。1周目でわからなくても、他の問題を解いていくうちに周辺知識が身について、2周目にすんなり理解できるということもあります。3周解いてわからなかった場合は、「諦めるか」「誰かに聞くか」のどちらかだと思います。分からない問題が数年に1問程度で、試験で6割取るためには必要ないと思ったら諦めるのも一つの手です。
また、過去問演習については、できた問題とできない問題を分類して、できない問題を中心に復習するのが効率が良いと思います。私は1次試験の勉強では、土日に過去問6年分解いて(11月ぐらいの話です)、平日に間違えた問題を復習していました。
あと、間違えた問題に対して「なぜ解けなかったのか」「どうすれば解けたのか」を1つのノートにまとめておくことをお勧めします。
例えば、「この公式を覚えていたら解けた!」や「この発想は自分にはなかった」と復習で判明したら、その公式・解法をノートに書き留めておきます。これをたくさんの問題で繰り返していくことで、自分専用の公式集・解法集ができあがります。このノートを覚えることで、演習スピードも上がりますし、試験前の復習として十分活用できます。
まとめ方は人それぞれですが、「解けない問題をどう解けるようにするのか」を過去問の採点のときには意識してください。決して、点数を付けるだけで満足しないようにしましょう。
年間の勉強計画(3月に始める場合)
3月から勉強を始める場合の目安を書いておきます。生保数理を終えている方を前提にしていますので、まだの方は⓪のとおり生保数理から始めてください。
3月から5月ごろまでは、教科書の通読と演習問題にあてます。合ストの公式集を参照しながら、試験に必要な知識がどこなのかを意識して読み進めてください。
5月の後半から6月ごろに、合ストの問題集に入ります。1周目で完全に解き切れるようにはならないのが普通ですので、2周目で8割から9割解ける状態を目指します。教科書は、この間は分からないところを調べるために適宜参照する形になります。
8月の終わりから9月ごろに過去問へ移り、試験までに3周します。1周目・2周目・3周目と回していけば、「15年分を2時間半で9割」に届きます。出遅れた場合でも、遅くとも10月中には過去問に入りたいところです。11月から始めると、10年分ほどしか解けないまま本番を迎えることになります。
解けなかったときの戻り方
過去問を何周かすると、「理解はしていないけれど、見たことがあるから解ける」という問題が出てきます。ここで解法を覚えただけにしておくと、同じ論点を別の形で問われたときに解けません。分からないまま通り過ぎた問題は、教科書と合ストの該当箇所に戻って、その問題の背景を確認してください。
一方で、2周目以降のすべてを手で解き直す必要はありません。問題を見て「こう考えて、こう解く」と頭の中で思い出してから解答を読む、という進め方にすると、実際に書いて解くより何倍も速く回せます。計算そのものが不安な問題だけ、電卓を持って解き直せば十分です。
よくある誤解
「生保数理に受かっていれば、年金数理はすぐに受かる」
重なっているのは、年金数理の基本原理・計算基礎率・年金現価率あたりまでです。定常人口論から先は年金数理独特で、ここに時間がかかります。生保数理の貯金で入りやすい科目ではありますが、後半に時間を取らずに受けると足りません。
「教科書と合ストだけでは足りないので、他の教材も探したほうがよい」
年金数理は教材が少ない科目ですが、指定教科書と合スト、そして過去問の3つで合格点は取れると私は考えています。教材を探す時間があるなら、過去問を1年分でも多く解くほうが合格に近づきます。
「公式は導出できれば、覚えなくてもよい」
導出できることは大切で、公式の導出が大問で問われることもあります。そのうえで、試験の場では思い出すまでの時間が差になります。年金数理の公式は多くありませんので、覚えたうえで導出もできる、という状態にしておくのが理想です。
おわりに
繰り返しになりますが、過去問演習が一番大切です。
- 過去問演習を早く始めるために(基礎知識を身に付けるために)、⓪①②に早めに取り組む。
- 「過去問15年分を2時間半で9割」に解けるようにするために、過去問を丹念に繰り返す
この2つを常に頭に置きながら勉強すれば、必ず成果はでます。
特に「年金数理」は、概念が難しいかつ、内容が抽象的でとっつきにくい部分があるかとは思います。色々分からないこともあり、不安になると思いますが、とりあえず「過去問が命」ということだけは覚えていただければと思います。
最後までご覧いただきましてありがとうございました!
みなさまの合格報告を楽しみにしております。
一緒に頑張っていきましょう!!!
アクチュアリー育成塾の試験対策
アクチュアリー育成塾では、「過去問15年分を2時間半で9割取れるようにする」にフォーカスした試験対策の個別指導を行っています。興味ある方はこちらもご覧ください。

次に読む記事
- 【アクチュアリー1次試験】過去問の使い方
- 生保数理の勉強方法【アクチュアリー試験】
- 【年金数理】2025年度解答速報(アクチュアリー試験)
- 【AC試験2023】年金数理のアンケート結果
- 1次試験の合格方法【アクチュアリー試験】
本番に近い形で力を試したい方は、当社のアクチュアリー模擬試験もご利用ください。自宅のパソコンで受験でき、1次試験は無料です。毎年10月と11月の2回実施しています。過去に実施した模擬試験は、問題・解答・解説をまとめたPDFとして販売しています(1次試験は1科目1回分500円)。日本アクチュアリー会の過去問を一通り終えたあと、初めて見る問題で力を試したいときにお使いください。
この記事の執筆者
松岡 / 日本アクチュアリー会 正会員(FIAJ)
株式会社ACEプロフェッショナル 代表取締役
アクチュアリーの転職支援・試験対策指導に従事




コメント