はじめに:なぜ「初任給」だけで判断してはいけないのか
就職活動中の学生と話していると、「あの会社はアクチュアリーの初任給が高いらしい」という話題がよく挙がります。しかし、初任給だけを基準に就職先を選ぶのは非常に危険です。初任給とは、あくまで入社直後の一時的な月給であり、将来的な年収や福利厚生、賞与などを考慮せずに判断してしまうと、後悔する可能性が高くなります。
アクチュアリーの初任給の実態
実際のアクチュアリーの初任給についてもコメントしておきます。
「アクチュアリーの初任給は特別に高いのでは?」と考えている方も多いかもしれませんが、アクチュアリー採用の初任給は、実際には保険会社の総合職(いわゆる基幹職)と同水準で設定されることがほとんどです。つまり、アクチュアリー職だからといって特別に高額な初任給が支給されるわけではありません。
たとえば、大手生命保険会社・損害保険会社の新卒初任給は、月給で22〜30万円程度が一般的です。ここに固定残業代が含まれることもあり、企業によって詳細は異なります。
ただし、一部の企業では、アクチュアリー試験の合格科目数に応じた手当が支給される場合があります。たとえば、「数理」「生保数理」などの1次試験合格で毎月5,000円〜10,000円の手当が上乗せされることもあります。
また、正会員になると昇進や昇給につながるケースも多いため、長期的に見れば他の総合職の社員と比較して、給与の伸び率は比較的高いといえるでしょう。
初任給の正しい捉え方とは?
初任給=手取りではない!額面と実際の収入の違い
「初任給30万円」と聞くと、多くの学生はそのままの金額がもらえると勘違いしがちです。しかし、社会保険料や税金などが差し引かれるため、手取りは約23〜25万円程度になるのが一般的です。初任給の「額面」だけを見て判断するのではなく、実際の生活に直結する「手取り金額」に注目しましょう。
年収ベースで比較すべき理由
同じ初任給でも、年間を通じた給与体系は大きく異なることがあります。たとえば以下の例をご覧ください。
- ① 初任給40万円/賞与なし → 年収480万円
- ② 初任給30万円/賞与年120万円 → 年収480万円
一見①のほうが高収入に見えますが、年間で見ると両者は同じです。このように、初任給だけで企業を判断してしまうと、賞与や昇給の情報を見落とすことになります。他にも大手の保険会社では社宅や家賃補助がある場合もあり、これらは初任給に含まれないことが一般的です。
福利厚生・賞与も含めた「総合的な待遇」を見る
福利厚生には、アクチュアリー資格取得支援や寮、食堂、通勤しやすさなど、金額には現れない価値があります。特にアクチュアリーのような専門職では、資格取得のサポートが重要な評価ポイントです。制度面も含めて「働きやすさ」を評価しましょう。
就活でありがちな誤解とその落とし穴
例:初任給40万円・賞与0万円 vs 初任給30万円・賞与120万円
先述の通り、初任給の額面だけでは企業の本当の評価はできません。とあるアクチュアリーの知り合いが「初任給が高かったのでA社を選んだが、年収の伸びが鈍く、後悔している」と語っていたケースもあります。目先の金額ではなく、中長期的な年収モデルを見ることが重要です。
数年後の昇給モデルを必ず確認すべき理由
アクチュアリー職では、入社後の資格取得や実務経験により昇給が見込めます。企業によっては、正会員合格後に年収が100万円以上アップするケースもあります。こうした将来の収入モデルを把握することで、長期的な視点で企業選びが可能になります。
アクチュアリーとしてのキャリアと収入の関係
3年後・5年後・10年後の給与モデルとは?
アクチュアリー 初任給は業界内である程度似通っていますが、キャリアが進むにつれ差が出てきます。例として、某大手生保のモデルでは、次のような推移が見られます:
- 入社時:年収450万円
- 3年後(準会員):年収600~800万円
- 5〜7年後(正会員):年収800〜1,200万円
資格取得と昇給・昇格の相関性
アクチュアリー資格の取得が昇格に直結している企業も多くあります。逆に、制度上あまり昇給が見込めない企業もありますので、制度と運用の実態をインターンやOB・OG訪問などで確認しておくことをおすすめします。
まとめ:初任給だけに惑わされず、将来を見据えた選択を
アクチュアリー 初任給という数字に目を奪われがちですが、重要なのはその先にある年収の推移や福利厚生、賞与の仕組みです。初任給はあくまで「スタート地点」であり、ゴールはその何年も先にあります。
もし「どの企業が自分に合っているのか分からない」「長期的な視点で判断する方法が知りたい」という方は、ご自身でインターンに行ったり、OB訪問を行ってください。
アクチュアリー就活塾ではアクチュアリー就活したい学生のために対策会を行っていますので、是非会員登録をしてご参加ください。
この記事がアクチュアリー就活生のキャリアの参考になれば幸いです。
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