【オワコン?】アクチュアリーの将来性

学生
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「アクチュアリーって将来性あるの?」

Donald
Donald

「アクチュアリーはAIにとって代わられる」

という論争がありますよね

そこで今回は私が思う「アクチュアリーの将来性」

について話ができればと思います

はじめに


どうもこんにちは。Donaldです。

人生100年時代と言われる中で、アクチュアリーというキャリアに将来性はあるのかと、たまに聞かれることがあります。私も学生時代にアクチュアリーになるといったら、「AIに代替されるんじゃないの?」と言われたりもしました。

そこで今回は、実際にアクチュアリー正会員として働く私が、アクチュアリーの将来性について、考えてみたいと思います。

アクチュアリーを目指している方の参考になれば幸いです。

この記事は、2026年9月に加筆しました。AIに取って代わられるのかというテーマは、YouTubeでも、アクチュアリーを目指しているインターンのアユスタ君と一緒に話しています。あわせてご覧ください。

結論:仕事はなくならないが、中身は変わっていくと考えています

先に私の結論を書いておきます。アクチュアリーという職業そのものがなくなることは、私は考えにくいと思っています。一方で、アクチュアリーが担う仕事の中身は、これから変わっていくと考えています。

アクチュアリーは100年以上前からある専門職です。その間、道具は紙と電卓からExcelへ、Excelからプログラミングへと入れ替わってきましたが、道具が変わったことでアクチュアリーが不要になったことはありません。AIも、その延長にある道具の一つだと私は捉えています。

変わるのは仕事の中身のほうです。データの集計や分析、定型的な資料作成といった、これまで若手が担ってきた部分は、AIに任せられる範囲が広がっていくと考えています。逆に、責任を負うこと、意思決定をすること、前例のないリスクに対応すること、専門的な内容を経営層に伝えることは、人が担い続けることになると思います。仕事の重心が上流に移っていく、というのが私の見方です。

アクチュアリーの人数は増加傾向

まずは、アクチュアリーの人数のデータを見てみましょう。

日本アクチュアリー会のホームページによると、2023年3月末時点での会員数は、5,564名となっています。また、見てわかる通り、アクチュアリーの人数は年々増加しております。

日本アクチュアリー会HPから引用(https://www.actuaries.jp/intro/)

なお、この記事を書いている時点で公表されている最新の数字は、2026年3月末時点のものです。日本アクチュアリー会の個人会員は、正会員2,297名、準会員1,501名、研究会員2,118名の合計5,916名となっています。

業態別の内訳は、生命保険2,412名、信託345名、損害保険889名、その他2,270名です。「その他」が全体の4割近くを占めている点は、アクチュアリーの将来性を考えるうえで見逃せないところだと私は思っています。この内訳については、後ほど「活躍の場は保険会社の外へ広がっています」で改めて触れます。

(出典:日本アクチュアリー会「アクチュアリーの活躍フィールド」個人会員の業態分布(2026年3月末) https://www.actuaries.jp/actuary/fields.html )

アクチュアリーの人数が増加している理由としては、以下の2つが挙げられます。

①アクチュアリーの必要性の増加

保険会社をはじめ様々な企業が、経営を推進していく中で、アクチュアリーの需要が高まっていることから、年々アクチュアリーの採用を増やしています。

実際に、大手保険会社の採用の実態を聞くと、新卒採用におけるアクチュアリー候補生の採用は、10年前は1人~2人でしたが、近年では10名程度取っています。

また、保険会社で働いている私としても、アクチュアリーの人手不足を肌に感じており、転職市場でも、超が付くほどの売り手市場(求職者<求人数)状態です。

アクチュアリーをなぜ必要としているのかは各社の実態によるとは思いますが、資格試験が難しいこともあることから、アクチュアリー不足は今後も継続すると見込まれるため、将来性は数十年単位でみても高いと思います。

②アクチュアリー認知度の高まり

また、アクチュアリーの認知度が高まっていることが、アクチュアリーの人数増加に寄与しているとも思われます。

日本アクチュアリー会でも、「アクチュアリーセミナー」と題して、大学生や大学院生に向けて、アクチュアリーに関する説明会を行うなど、学生への認知度向上のための施策を毎年行っています。

私もこの「アクチュアリーセミナー」に参加して、アクチュアリーになることを決めた1人です。

是非、アクチュアリーになるかを迷っている方がいたら、こちらのセミナーにご参加下さい。

2023年度冬季・アクチュアリーセミナー | イベント | アクチュアリー会

ちなみに、アクチュアリーはアメリカでは有名な職業です。アメリカの職業ランキングなどでは、毎回上位に名を連ねており、アメリカ人にアクチュアリーであることを伝えると、すぐ理解してくれます。日本人に話すときは、1から話をしないといけませんので、ゆくゆくは日本の職業ランキングに名を連ねられるように、私含めてアクチュアリーのみなさまで頑張っていきましょう!(笑)

アクチュアリーの将来性について

先ほど、アクチュアリーの需要や認知度の向上で、アクチュアリーは増えつつあるとお話をしましたが、今後の将来性について、私なりに考えてみます。

①アクチュアリーの需要は今後も上昇傾向

現状でのアクチュアリーの慢性的な人手不足に加えて、アクチュアリーの活動領域は、保険会社にとどまらず、コンサルティングファームなどにも、年々広がっています。保険商品開発、決算、リスク管理などの伝統的な領域の仕事は保険会社経営上必要であるため、減らないと思われます。また、経営企画やデータサイエンスの分野などの非伝統的な領域においても、アクチュアリー人材を配置する会社は、今まで以上に増えていると感じます。

そのため、アクチュアリーの業務内容や活躍フィールドは今後も増えていき、アクチュアリー自体のニーズは今後も増えることが予想されます。

②AIに代替される可能性

将来性の話をすると、AIにとって代わられるのではないかということが論点としてよく出てきます。

アクチュアリーの仕事を、私なりに大きく分けると、以下の業務に分解されます。

  • 数理計算
  • 計算結果の評価
  • 意思決定および経営陣等へのレポート

AIを使えば、数理計算や計算結果の評価については、ある程度代替されるかもしれません。しかし、3つ目の意思決定および経営陣等へのレポートは、AIによる代替は不可能だと思います。

特に、アクチュアリーの仕事は、高い専門性とコミュニケーション能力が重要です。保険数理などの専門知識のバックボーンを持ちつつ、経営層や金融庁に分かりやすく説明する能力が求められます。そのため、アクチュアリー自体が、AIに代替される可能性は極めて低いと考えます。

そのため、今後10~20年の間は、保険数理にまつわる専門知識を有し、コミュニケーション能力を持った、生身のアクチュアリーが必要になるのではないでしょうか。

むしろ、今後は、AIを活用して、業務効率化や新たな価値の創出を行うことができるアクチュアリーの需要も、高まっていくと考えられます。エヌビディアのCEOが「AIではなく、AIに精通した人が仕事を奪う」と言っていましたが、私も大筋納得しています。近い将来は、AIに精通したアクチュアリーがそれ以外の人の仕事を奪う可能性はあるかもしれません。これから生成AIなどの勉強もマストになってくるかもしれませんね。

AIに任せられる仕事と、人が担い続ける仕事

ここからは、AIとの分担をもう少し具体的に見ていきます。AIに取って代わられるのかという問いは、イエスかノーかで答えられるものではありません。仕事は細かなタスクの集まりですので、どのタスクが置き換わり、どのタスクが残るのかに分けて考えるほうが、見通しが立ちます。

AIに任せられるようになってきた仕事

私自身、いまの仕事でAIを日常的に使っています。そのうえで、アクチュアリーの仕事の中にもAIに任せられる部分は少なくないと感じています。

一つはデータの集計と分析です。私が社会人になりたてのころに担当していたのは、Excelの関数で数字を合計し、それを足したり割ったりして表にまとめる、という作業でした。いまであれば、この種の作業はAIに任せられる範囲だと思います。

二つ目は決算のような定型業務です。毎年、あるいは四半期ごとに同じ手順を繰り返す業務は、手順が決まっているぶん、効率化できる余地が大きい部分です。

三つ目はプログラムを書くことです。ビッグデータを扱うためにプログラミングが必要になる場面は今も変わりませんが、コードをゼロから自分で書き上げる能力の重要性は下がってきていると感じます。私の場合、以前はゼロから作っていた収益性の計算ツールも、いまは7割から8割の叩き台をAIに作らせて、そこを自分で直す進め方になりました。

四つ目は資料作成です。経営会議に出す資料や、当局に提出する文書のたたき台は、AIがかなりの部分を作れるようになりました。私が説明用に使っているスライドも、8割から9割はAIに作らせています。

人が担い続けると私が考えている仕事

一方で、会社の経営に関わる部分は人が担い続けると私は考えています。動画では5つに整理しました。

一つ目は署名と責任です。保険計理人のように、確認した内容に自分の名前を出して責任を負う場面があります。そもそも日本のアクチュアリー資格は、保険計理人や年金数理人の要件の一つであることが法律で定められています(出典:日本アクチュアリー会「アクチュアリーの活躍フィールド」 https://www.actuaries.jp/actuary/fields.html )。会社の経営に対して責任を負うのは人ですので、ここはAIに移せる部分ではありません。

二つ目は意思決定です。保険料をいくらにするかという問いには、答えがありません。AIが2,000円が妥当だと示したとしても、それが本当に妥当かを踏まえて決めるのは人の仕事です。

三つ目は前例のないリスクへの対応です。AIは過去のデータをもとに、それらしい答えを出すことを得意としています。裏返せば、データがないものには強くありません。2020年の感染症の流行のように、過去に例の少ない出来事への対応は、人が関与しないと進まないと思います。

四つ目は翻訳と信頼です。分析の結果をそのまま経営層に渡しても、その数字がどういう意味を持つのかが伝わらないことは少なくありません。保険数理の中身を咀嚼して、納得してもらえる形で伝える力が要ります。加えて、誰が言うかも効きます。AIがそう言っていましたという説明と、正会員が確認したうえでそう言っているという説明とでは、受け取られ方が違います。

五つ目は公平性と倫理です。たとえば生命保険の保険料は、基本的には年齢と性別で決まります。技術的には、健康診断の結果や生活習慣まで使えば、より細かく発生率を見積もれそうに思えます。しかし、そこまで細かく分けてよいのか、分けた結果として保険に入れない人が出てもよいのか、という線引きは、計算の外にある問題です。ここは人が判断するしかないと私は考えています。

活躍の場は保険会社の外へ広がっています

先ほどの会員数の内訳をもう一度見てください。2026年3月末時点で、生命保険2,412名、損害保険889名、信託345名に対して、「その他」が2,270名います。日本アクチュアリー会も、従前は大多数の会員が生命保険会社・損害保険会社・信託銀行に所属していたが、近年は各省庁、コンサルティング会社、監査法人、再保険会社などに所属する会員も増えている、と説明しています。

広がりの一つは、リスク管理の領域です。会社全体のリスクを管理するという考え方は統合的リスク管理(ERM)と呼ばれ、保険会社に限らず、事業会社でも取り組みが進んでいます。リスク管理の専門家であることを示す資格としてCERA(Chartered Enterprise Risk Actuary)があり、正会員になったあとにこの資格を取る方もいます。CERA試験は準会員でも受けられますので、リスク管理の方向に進みたい方は早めに調べておくとよいと思います。

資産と負債を合わせて管理するALM(資産負債管理)も、この領域に入ります。アクチュアリーが得意とする責任準備金の計算は負債側の話ですが、それに対応する資産をどう運用するかまで見られる人は、保険会社の中でも、信託銀行のような資産側を担う場でも、力を発揮しやすいと思います。

もう一つはデータサイエンスの領域です。アクチュアリーは保険数理の知識とデータを扱う力の両方を持っているため、予測モデルの開発を任されることがあります。私自身も、健康診断の結果をもとに入院の発生率を予測するモデルを作ったことがあります。損害保険は、自動車の車種や運転歴といった多くのデータを使って保険料を決めるため、生命保険よりもデータサイエンスとの距離が近い領域です。

日本アクチュアリー会も、アクチュアリーのもつ数理的な分析力・判断力はさまざまな場面で必要とされており、データサイエンスとも親和性が高いと説明しています。保険会社の中で数理計算だけをしている状態から離れられるかどうかが、これからの分かれ目になると私は考えています。

規制の変化で、アクチュアリーの仕事は増えています

将来性を考えるうえで、AIと並んで大きいのが制度の変化です。2026年3月期から、経済価値ベースのソルベンシー規制の適用が始まりました。金融庁は、狭義のソルベンシー規制にとどまらない多面的な健全性政策として「3つの柱」の考え方を採用し、2026年3月期より適用を開始すると説明しています。

第1の柱は、資産と負債を経済価値ベースで評価し直したうえでESR(ソルベンシー比率)を算出し、契約者保護のための監督介入の枠組みを定めるものです。第2の柱は、第1の柱で捉えきれないリスクも含めて保険会社の内部管理を検証し、ERMやORSA(保険会社自身によるリスク評価)の枠組みが機能しているかを見るものです。第3の柱は、所要資本・適格資本、バランスシート、感応度分析、変動要因分析といった定量情報と、計算の前提や手法に関する定性情報を法定開示とするものです。

実務の側から見ると、これは計算量が増えるということでもあります。所要資本の計算では、生命保険リスク、損害保険リスク、巨大災害リスク、市場リスク、信用リスク、オペレーショナルリスクの6つのカテゴリーに分けてリスク量を算出し、分散効果を反映したうえで合算します。紙と電卓ではとても回らない量ですし、Excelだけでも相当に大変です。道具が進化したからこそ、この水準の保険経営ができるようになったという側面があると私は思っています。

開示が法定化されたということは、外部に説明する仕事が増えるということでもあります。数字を作る仕事だけでなく、その数字が何を意味するのかを説明する仕事が増えていく。ここは、先ほど人が担い続ける仕事として挙げた「翻訳と信頼」の話につながります。

(出典:金融庁「経済価値ベースのソルベンシー規制の概要」2026年7月 https://www.fsa.go.jp/policy/economic_value-based_solvency/10.pdf )

これから身につけるとよいと私が考えていること

私が社会人になったころは、Excelの勉強をかなりしました。そのあとはプログラミングを勉強しました。そのおかげで、アクチュアリーの中では少し有利な位置に立てたのだと思っています。いまの時期にそれにあたるのが、AIをどう使うかという部分だと私は考えています。

AIを道具として使いこなすこと

大事なのは、AIに丸投げしないことです。AIが出したものが正しいかどうかを判断できることが、これから求められる力だと思います。実際、1次試験の問題であればAIはかなり正しい答えを出しますが、2次試験になると、保険会社で働いている人の知見が要るぶん、それらしいけれども的を射ていない答えが返ってくることがあります。出てきたものの正誤を判断するには、結局のところ自分が勉強しておくしかありません。

途中の計算過程まで書かせて、それを自分で確かめる。この進め方であれば、AIの答えをそのまま信じる必要はなくなります。私自身、AIの出す数字をそのまま信用することはほとんどありません。

プログラミングとデータの扱い

プログラミングは、いまでも必要です。保険会社が持つ契約の件数は1,000万件を超えることもあり、過去のデータと合わせると10億レコードを超えることも珍しくありません。Excelでは開くこともできない規模です。よく使われるのはVBAとPythonで、金融機関ではSASも使われています。具体的な言語やツールについては、アクチュアリーとプログラミング~正会員が解説~に書きました。

ただ、コードを書くこと自体の価値は下がってきています。これから残るのは、どういう分析をしたいのかを自分で決められることのほうだと私は考えています。

資産運用・会計・英語

数理計算の外側の知識も効いてきます。資産運用は、予定利率を決めるうえでも、ALMの観点からも必要です。まずは自分で証券口座を作り、少額でも運用してみると、金利や為替の動きが自分ごとになります。資格としては証券アナリストを勉強する方が多い印象です。

会計は、簿記から入るのがおすすめです。いきなりKKT(会計・経済・投資理論)の会計の教科書を読むのは大変ですので、簿記3級から始めると入りやすくなります。私自身も、KKTの勉強の前に簿記3級の書籍を2周しました。

英語は、外資系や再保険会社で働く場合や、マネジメント層を目指す場合に効いてきます。試験に合格したあとに何を勉強するかは、アクチュアリー試験のその先へ【おすすめ学習内容】にまとめています。

よくある誤解

「AIに置き換わるかどうか」は、イエスかノーかで決まる

アクチュアリーの仕事は多くのタスクの集まりです。集計作業のように置き換わる部分と、責任を負う部分のように残る部分が同時にあります。全部なくなるのか、全部残るのかという聞き方をしてしまうと、いま何を勉強すればよいのかという問いに答えが出ません。どの部分が置き換わるのかに目を向けるほうが役に立つと思います。

AIを使えるようになれば、勉強しなくてよくなる

むしろ逆だと私は考えています。AIが出した答えが正しいかどうかを判断するには、自分に判断の材料がなければなりません。AIに任せられる範囲が広がるほど、判断する側の知識が問われるようになります。

アクチュアリー試験に受からなかったら、つぶしが利かない

アクチュアリーの仕事を通して身につくのは、保険数理だけではありません。決算を通して財務諸表の読み方が身につきますし、商品開発を通してプロジェクトの進め方やマーケティングにも触れます。私が起業できたのも、アクチュアリーとしての経験があったからだと思っています。この点はアクチュアリー試験に受からないとどうなる?で詳しく書いています。

まとめ

今回の記事ではアクチュアリーの将来性について、私の意見を書いてみました。

近年、アクチュアリーの人数が増えていること、需要も今後伸びることが期待できること、アクチュアリーの業務の専門性の高さからAIによる代替可能性は低いことから、アクチュアリーの将来性はまだあると思います。

ただし、アクチュアリーとして働く私だからこそ、楽観的に思っているだけかもしれませんので、反対意見等あれば、ぜひコメント欄で教えてください。

今回の記事がアクチュアリーを目指している人の参考になれば幸いです。

最後までご覧いただきありがとうございました!

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この記事の執筆者

松岡 / 日本アクチュアリー会 正会員(FIAJ)
株式会社ACEプロフェッショナル 代表取締役
アクチュアリーの転職支援・試験対策指導に従事

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