KKT(会計・経済・投資理論)の勉強方法【アクチュアリー試験】

学生
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アクチュアリー試験のKKT(会計・経済・投資理論)に受かるために何したらいいか分からない…

Donald
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任せてください

本日は、私が正会員になってわかったKKTの勉強方法をご紹介します

「KKT」試験概要

まずは「KKT(会計・経済・投資理論)」の試験概要を紹介して、その後勉強方法について解説していきます。「試験概要なんてわかっているよ!」という方は飛ばしてください。

細目(出題範囲)

出題範囲は試験名からわかる通り「会計」「経済」「投資理論」の3つに分かれています

会計
  • 財務会計の機能と制度
  • 利益計算の仕組み
  • 会計理論と会計基準
  • 利益測定と資産評価の基礎概念
  • 現金預金と有価証券
  • 売上高と売上債権
  • 棚卸資産と売上原価
  • 有形固定資産と減価償却
  • 無形固定資産と繰延資産
  • 負債
  • 株主資本と純資産
  • 財務諸表の作成と公開
経済
  • ミクロ経済学
    • 需要と供給
    • 需要曲線と消費者行動
    • 費用の構造と供給行動
    • 市場取引と資源配分
    • ゲームの理論入門
  • マクロ経済学
    • 経済をマクロからとらえる
    • 有効需要と乗数メカニズム
    • 貨幣の機能
    • マクロ経済政策
投資理論
  • 投資家の選好
  • ポートフォリオ理論
  • CAPM
  • リスクニュートラル・プライシング
  • デリバティブの評価理論
  • 債券投資分析
  • 株式投資分析
  • デリバティブ投資分析

教科書

会計

<教科書>

  • 財務会計講義(第25版)
    桜井久勝 著
    (中央経済社)
    第1章~第12章

ただし、25版は2024年度試験の範囲となっております。財務会計講義は毎年改訂があるので、注意してください。

こちらのリンクは第25版です。

経済学

<教科書>

  • 入門|経済学(第4版) 
    伊藤元重 著
    (日本評論社)
    Part 1の§1~§4、§8
    Part 2の§9~§12
投資理論

<教科書>

  • 新・証券投資論Ⅰ 理論篇
    日本証券アナリスト協会 編
    小林孝雄 芹田敏夫 著
    (日本経済新聞出版社)
    第1章~第3章、第5章、第7章
  • 新・証券投資論Ⅱ 実務篇
    日本証券アナリスト協会 編
    伊藤敬介 荻島誠治 諏訪部貴嗣 著
    (日本経済新聞出版社)
    第1章、第2章、第4章

アクチュアリー会のホームページに載っている教科書は以上です。

KKTの場合、教科書を買うのは必須です。
一つ気を付けてほしいのは、財務会計講義に関してです。毎年改訂するので、1年程度、版が古くても問題ないと思いますが、改定された部分が出題されることもありますので、どこが変わったかは確認しておきましょう。

合格点・試験時間

会計25点経済25点投資理論50点の合計100点満点です。
合格点は60/100です。たまに合格点が55点などに引き下がることもありますが、基本は60点です。

注意してほしいのは、一次試験で唯一足切りがあり、各分野の40%に満たない場合は不合格です。具体的には、以下の点数です。

KKTの足切り
  • 会計:10点
  • 経済:10点
  • 投資理論:20点

後述しますが、会計の10点を超えるのが、一番大変です。不合格者の多くがここに苦しんでいる印象があります。

試験時間は3時間です。アクチュアリー試験はすべての科目が3時間なので、複数科目を受ける場合、体力をかなり消耗します。

「KKT」合格の基本戦略

「KKT」に関しては、一次試験で唯一足切りがあるので、
どの分野で何点取るかという戦略性が必要になってきます。
年によって分野ごとの難易度が異なるので、断定はできませんが、一般的な基本戦略は以下です。

KKT基本戦略
  • 会計:10点~15点
  • 経済:15点~25点
  • 投資理論:30点~40点

「経済」「投資理論」に関しては、過去問をきちんとやれば、高得点がとれる分野です。

一方、「会計」に関しては、分厚い『財務会計講義』から出題されるので覚えることが多いかつ、過去問に類似した出題が少ないので、高得点を狙いにくいです。しかも配点が25点なので、「会計」に力を入れるのは正直コスパが悪いです。

したがって、「経済」と「投資理論」で50点以上を目指して、「会計」では10点+αをとれるようにするのが基本戦略だと思います。

この基本戦略でいっても、会計でコンスタントに10点をとるのが一番大変ですので、実際の勉強時間は

「会計:経済:投資理論=6:1:3」

が目安かと思います。

この基本戦略を参考に、ご自身の勉強計画を立ててみて下さい。

「KKT」各分野の勉強方法

これから実際の勉強方法に移ります。

勉強方針としては、試験前に「過去問15年分を2時間で90点以上とれる」という状態を目指します。これで1次試験は突破することができると思います。詳しくは過去の記事もご参照下さい。

「KKT」でも、試験日までに、「過去問15年分を2時間で90点以上とれる」状態になれるよう、逆算して、勉強していきましょう。(後述しますが、「会計」に関してはこれだけでは不十分です

それでは、私が推奨する勉強方法を「会計」「経済」「投資理論」の順に紹介していきます。

「会計」勉強方法

「会計」勉強方法

①(会計初学者)簿記3級の勉強をする

②(会計初学者)会計に関する薄い書籍を2冊程度流し読み

③財務会計講義を覚える

④過去問を解く

順に解説していきます。

①簿記3級の勉強をする

『財務会計講義』を持っている方はわかると思いますが、かなり重厚で読むのが大変です。しかも会計の概念が分からない方は、いきなり読んだら理解しにくいと思います。

そのため、私は会計初学者には簿記3級の勉強をすることをおすすめしています。実際に資格を取る必要はありません。簿記3級向けの薄い書籍を2周する程度で良いです。これで会計の雰囲気を理解できるようになります。

私はいわゆる「パブロフ簿記」で勉強しました。イラストも多く、広く浅く勉強するのに便利でした。アプリもあるので、短期間で詰め込むことができました。ただ、人それぞれ好みがあると思うので、ご自身にあった本を探してみて下さい。

②会計に関する薄い書籍を2冊程度流し読み

パブロフ簿記を2周したあとに、財務会計講義を読んでみました。簿記の勉強をする前よりは、読むことはできましたが、それでも読むのが辛くて、かつ内容を理解することができませんでした。(逃げかもしれませんが…)

そこで私は、「一つの分野をある程度理解するには、薄い本を3冊流し読みするのが最も効率的」だというのを思い出して、これを実践しました。

幸い、会計に関しては、色んな書籍があるので、楽しんで勉強することができました。(私の性格上、財務会計講義の1冊だけだと飽きてしまうので…笑)

私が流し読みした書籍は以下の3冊です。財務会計講義を読むのに苦しんでいる方は参考にしてみて下さい。1冊読むだけでも財務会計講義にとっつきやすくなると思います。

特に3冊目の『会計学入門』は、『財務会計講義』の著者「桜井久勝」さんが書いたものであり、『財務会計講義』の要約版のようなものです。なので、財務会計講義を読む前にはこちらを読んだ方が全体像を早めに理解することができます。(薄いのでやる気が出ます笑)

③『財務会計講義』を覚える

覚えるというのは少し抽象的ですが、試験に受かるための覚え方は以下の2つです。

『財務会計講義』の覚え方

ア.語句を緑ペンで塗り、赤シートで隠して、読みながら覚える

イ.設例の仕分けを自分で再現できるようにする

ここで、「会計」の実際の試験での出題方式は以下の3つのパターンです。

「会計」の出題方式

a.語句穴埋め

b.正誤問題

c.設例に基づく計算問題

出題方式aとbについては、『財務会計講義』の覚え方「ア.語句を緑ペンで塗り、赤シートで隠して、読みながら覚える」で対策をします。

出題方式cについては、『財務会計講義』の覚え方「イ.設例の仕分けを自分で再現できるようにする」で対策をします。

会計の点数は『財務会計講義』の習熟度に比例して上がっていきます。分厚くて大変だと思いますが、「財務会計講義」の暗記が合否を分けますので、頑張っていきましょう。

④過去問を解く

「③財務会計講義を覚える」と並行して過去問を解いていきましょう。

注意してほしいのは、昔の問題は、法令の変化などにより、過去と今では解答が異なることがたまにあります。また、過去問がそのまま出ることが他の科目と比べて少ないので、過去問対策だけでは不十分となる分野と言えるでしょう。

したがって、「会計」に関しては直近5~10年程度の演習にとどめておき、勉強の主軸を「③財務会計講義を覚える」に置くことが必要です。

「経済」の勉強方法

「経済」勉強方法

①教科書を読む(章末問題を解く)

②過去問を解く

①教科書を読む(章末問題を読む)

まずは教科書を読みましょう。他の科目や分野と比較して、かなり読みやすいので、教科書1冊で十分かと思います。(試験範囲外ですが、コラムとか面白いです笑)

ただ、教科書を読む際には、必ず「章末問題」にも取り組みましょう。章末問題の数値を変えただけの問題が実際に試験で出ますので、章末問題を解くことで過去問へのアプローチもしやすくなります。

②過去問を解く

そして過去問を解いていきましょう。「経済」と「投資理論」に関しては、「会計」と異なり、過去問演習が超重要です。

教科書の章末問題が解けたら、ある程度、過去問は解けると思います。しかし、過去問特有の問題もありますので、過去問の対策がさらに重要です。

「過去問15年分を9割解ける」ように過去問演習を繰り返していきましょう。

「投資理論」の勉強方法

「投資理論」勉強方法

①教科書を読む(語句を覚えながら)

②過去問を解く

①教科書を読む(語句を覚えながら)

まずは教科書を読みましょう。経済と比較すると、少し読みにくいですが、上巻の最初の方は読みやすいです。(ブラックショールズあたりを読むのに大変苦労した記憶があります。

最初は教科書が理解できなくても問題ないです。教科書を読むだけでは、理解できないことが多いと思いますが、実際に過去問を解いていく中で理解できることが多いので、1周目は、完璧を目指さず、広く浅く読むことをおすすめします。

2周目以降(過去問を解きながら)に、教科書を読む際には、語句を覚えることを意識しましょう。具体的には、緑ペンで塗って赤シートで隠しながら読むのがよいと思います(会計と同じです)。投資理論の問題のほとんどは計算問題なのですが、正誤問題や語句問題が50点中8点程度出題されます。近年の正誤問題は未出や捻った問題が出ますので、入念な対策が必要です。

②過去問を解く

教科書を1周読んだら、過去問を解いていきましょう。「投資理論」に関しても、過去問演習が超重要です。

計算問題については、捻った問題が出しにくいので、過去問に似た問題がほとんどです。そのため、「過去問15年分を9割解ける」ように過去問演習を繰り返すことで最短で合格点に近づくことができます。

過去問の解説を読んでもわからない部分は、教科書を読んで、理解できるようにしましょう。それでも分からない場合、最初は飛ばしてよいと思います。1周目でわからなくても、他の問題を解いていくうちに周辺知識が身について、2周目にすんなり理解できるということもあります。

また、過去問演習については、できた問題とできない問題を分類して、できない問題を中心に復習するのが効率が良いと思います。

あと、間違えた問題に対して「なぜ解けなかったのか」「どうすれば解けたのか」1つのノートにまとめておくことをお勧めします。
例えば、「この公式を覚えていたら解けた!」や「この発想は自分にはなかった」と復習で判明したら、その公式・解法をノートに書き留めておきます。これをたくさんの問題で繰り返していくことで、自分専用の公式集・解法集ができあがります。このノートを覚えることで、演習スピードも上がりますし、試験前の復習として十分活用できます。
まとめ方は人それぞれですが、「解けない問題をどう解けるようにするのか」を過去問の採点のときには意識してください。決して、点数を付けるだけで満足しないようにしましょう。

おわりに

繰り返しになりますが、KKTの学習では以下の2つがポイントです。

  • 「会計」対策としては、財務会計講義をしっかり暗記する
  • 「経済」「投資理論」対策としては、過去問を丹念に繰り返す

この2つを常に頭に置きながら勉強していきましょう

理系の私としては、一次試験の中で、KKTが一番しんどかった気がします。特に、『財務会計講義』の暗記が一番大変でした…

しかし、KKTの勉強は業務にも役立ちます。特に「会計」は二次試験にもつながってきます。アクチュアリーとしての自己研鑽として、是非とも頑張っていただければと思います。
みなさまの合格報告を楽しみにしております。
一緒に頑張っていきましょう!!!
最後までご覧いただきましてありがとうございました!

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