「アクチュアリー試験に受からないと、営業に飛ばされるのでは…?」 「もし正会員になれなかったら、キャリアは終わり?」
こうした不安を抱える就活生や若手社会人は少なくありません。 しかし、実際の現場を見てみると、「アクチュアリー試験に受からない=終わり」ではないのが現実です。
この記事では、アクチュアリー正会員になれなかった場合の実態と、それでも安心してキャリアを築ける理由を、実例を交えて解説します。
アクチュアリー試験に受からないと終わり?よくある不安とは
「営業に飛ばされる」って本当?
就活生の間でよく聞かれるのが、「アクチュアリー試験に落ち続けると営業に飛ばされる」という噂です。 確かに、一部の企業では人事ローテーションの一環として、アクチュアリーが営業部門や他部門に異動するケースもあります。
しかし、実際には「アクチュアリー試験に受からないから異動になる」という単純な構図ではありません。その人の適性を見たうえで、アクチュアリー部門以外に異動となることがほとんどです。
実際、多くの企業では、正会員でなくてもアクチュアリー業務を継続して行える体制が整っているように感じます。理由はシンプルで、アクチュアリーの業務の大半は正会員資格がなくても遂行可能だからです。 保険計理人や年金数理人などの法的資格を要する一部業務を除けば、試験合格の有無にかかわらず、数理スキルを活かして働くことができます。
企業がアクチュアリー試験結果をどう見ているか
企業にとって重要なのは「アクチュアリーとしての実務力」と「学ぶ姿勢」です。 試験結果は一つの指標ではありますが、それがすべてではありません。
実際、アクチュアリー業界では、研究会員(試験途中の段階)でも専門的な業務を担当している人が多数存在します。 企業によっては、研究会員がアクチュアリー部門の部長や役員を務めるケースもあり、試験合格の有無だけで評価されるわけではないのです。
アクチュアリー試験に受からなくても活躍できる理由
正会員でなくてもできるアクチュアリー業務とは
保険会社やコンサルティング会社のアクチュアリー部門では、保険料率の算出、責任準備金の評価、ERM(リスク管理)など、幅広い業務があります。 これらの多くは、アクチュアリー試験の途中段階でも十分に担当できますし、実際、アクチュアリーが正会員になる前に実務経験を積むことがほとんどです。
むしろ、実務での経験を積むことで、「理論を現場で使える力」が身につき、結果的に試験勉強にも役立つケースも少なくありません。
研究会員でも評価されるケースと実例
ある生命保険会社では、研究会員として10年以上勤務し、アクチュアリー部門のマネージャーを務めている方もいます。 このように、実務の能力と人間的信頼があれば、資格がすべてではないという風土がある会社もあります。
一方で、アクチュアリー正会員がアクチュアリーポジションでの昇格要件としている会社も一部あります。もし、こうした会社に務めている場合には、正会員になることができなかったら、待遇や役職が冷遇されてしまうこともあるでしょう。
しかしながら、アクチュアリー業務経験者は転職市場でも高く評価されます。 「アクチュアリー試験に受からない」と悩む人でも、アクチュアリーの業務経験を積めば、転職して年収を上げることは可能です。そのため、アクチュアリーの資格が取れなくても、キャリアの幅は特段問題ありません。
もし異動になっても安心!キャリアを続ける3つの道
もし、資格試験に受かることができず、異動となってしまった場合に、アクチュアリーとして働きたいという意向がある場合の選択肢をご説明します。
①社内異動後に再挑戦する
一時的に営業やオペレーション部門へ異動したとしても、それは「終わり」ではありません。 異動先で得た経験をもとに、再びアクチュアリー業務へ戻ることも可能です。しかし、同じ会社での異動となると最低2~3年は異動できないケースが多いので、アクチュアリーポジションで働くには時間がかかってしまいます。
②転職でアクチュアリー職を継続する
アクチュアリー経験を持つ研究会員や準会員でも、他社では一定の需要がある場合がほとんどです。アクチュアリー正会員でないから転職できないわけではなく、きちんとした実務経験があれば、アクチュアリーとして転職することは可能です。
③アクチュアリー経験を活かして他職種へ
アクチュアリー試験に受からなかったとしても、数理的思考力やデータ分析力を武器に、資産運用や経営企画、リスク管理、データサイエンスなどへのキャリアチェンジする道もあります。
いずれの選択肢でも、アクチュアリー試験の勉強経験が無駄になることはありません。
「終わりを決める」ことの意味とキャリア形成への効果
5年ルールを設けた先輩アクチュアリーの体験談
私の場合には、「社会人5年目までに正会員になれなかったら諦める」と決めていました。 この「終わりを決める」という考え方は、一見ネガティブに見えますが、実はモチベーションを高める効果があります。
期限を設けることで、日々の努力に集中でき、限られた時間を最大限に活かす意識が芽生えるのです。
撤退ラインを決めることで得られる集中力と覚悟
もちろん、すべての人が同じタイミングで正会員になる必要はありません。 重要なのは、自分なりの「目標設定」と「覚悟」を持つことです。
アクチュアリー試験は長期戦です。 終わりを決めることで、逆に試験との向き合い方が明確になり、途中でブレにくくなるというメリットがあります。
アクチュアリー試験に受からないと感じたときに考えたいこと
努力が報われるまでの時間差を理解する
アクチュアリー試験は合格率が低く、全科目合格までに10年以上かかる人も多いです。 だからこそ、焦らず、自分のペースで積み上げていくことが重要です。
試験に受からない時期があっても、それは「努力が報われるまでの助走期間」だと考えましょう。
「受からない=終わり」ではない、次の一歩を踏み出す勇気
試験に落ちたときこそ、自分のキャリアを見つめ直すチャンスです。 社内外のアクチュアリーと交流したり、転職エージェントに相談したりすることで、新たな可能性が見えることもあります。
「アクチュアリー試験に受からない」経験をした人ほど、柔軟な視点を持ち、広い視野でキャリアを築ける可能性があります。
まとめ:アクチュアリーの道は一つではない
正会員を目指しつつも、自分のペースで成長しよう
アクチュアリー正会員資格は、確かに価値の高い目標です。 しかし、それが唯一のゴールではありません。 試験に受からない時期があっても、実務経験を積み、学び続ける姿勢こそが最も大切です。
転職やキャリア相談を活用して、安心して挑戦を続けよう
もし今後の方向性に悩んでいるなら、キャリア支援サービスに相談してみましょう。あなたのアクチュアリーとしての経験やスキルを活かせる道は、必ずあります。
まずはアクチュアリー専門の転職エージェントに無料登録をして、お気軽にご相談ください。

本記事がアクチュアリー試験に悩まれている方の参考になれば幸いです。

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